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建築から施工まで一気通貫。プロジェクトオーナーシップの醍醐味

スタッフボイス
トップディレクター 富田氏

Q1. プロジェクトオーナーシップの醍醐味

企画から施工・引き渡しまで「一気通貫」で責任を持つことの厳しさと面白さを教えてください。

最大の醍醐味は、その都度発生する意思決定を、最後まで自分自身で下せる点です。
例えば、都内ターミナル駅のカフェ案件でのことなのですが、もともと喫茶店があった場所で、お客様からの要望は、「集客力を上げたい」というものでした。

通常であれば、目立つデザインにして回転率を上げる発想になりがちなのですが、私たちは、立地やターゲット、ブランドの将来性を分析した結果、「リピート率を上げる」という本質的な空間設計を提案しました。足の速い周辺環境で短い時間の中でも敢えて、圧倒的な居心地の良さを提供することにこだわり、動線計画から素材選びまで、一気通貫でコンセプトを具現化できた良い事例だと思っています。

一般的な分業制のプロジェクトでは、設計者はコストや工期を握る施工者に対してどうしても弱い立場になりがちです。しかし、WACTでは、一人のディレクターが設計も施工も統括します。ブレない1本の筋を通したコンセプトを貫きながら、デザイン性・コスト・工期を自らの采配で調整していく。全責任を負う重圧はありますが、お客様の想定を超える価値を生み出せるのが、この一気通貫の強みだと思います。

Q2. 「聴くチカラ」と「創造するチカラ」

顧客の言葉の裏にある「真の課題」をどう読み解き、デザインに落とし込んでいますか?

お客様から頂いた企画書は課題の起点として捉えるようにしています。
企画書はあくまで運営者視点であり、お客様自身も最初から明確な答えを持っているとは限らないので。嬉しいことに「WACTに任せれば売上が上がるお店ができる」と期待して下さるお客様もいらっしゃいますが、それでも尚且つ、我々が第三者の視点を投げ掛け、深いところまで潜って対話を重ねなければ、本当に良いものは生まれないと思っています。

なので、時には、お客様の要望(A案)に対して、敢えて極端なアイデア(C案)をぶつけることもあります。C案のメリット・デメリットを議論することで、お客様自身も気づいていなかった本当のニーズが引き出され、結果としてAとCの良い部分を掛け合わせた最適な「B案」が生まれる。あるいは全く新しい「D案」に辿り着くこともあります。

手間も時間もかかりますが、この泥臭いキャッチボールから逃げていては期待を超える空間は創れないと思いますし、むしろこのプロセスが肝だと考えています。

Q3. クリエイションと数字的合理性の両立

妥協なきモノづくりと、予算や利益といった「数字」をどう両立させていますか?

大前提として、クリエイションの源泉は、「その人の人生経験そのもの」だと思うので、どれだけ良いものを見て、多様な体験をしてきたか。旅行、美術館、アウトドアでの素晴らしい景色。そうした知識と体験の積み重ねの先にしかアウトプットはないと思いますし、これは、AIには絶対に真似できない、人間ならではの領域と言えるのではないでしょうか。

その上で、デザインとコストの狭間で難しい判断を迫られた時、軸は、「クライアント目線」でも「デザイナー目線」でもなく、「エンドユーザー(来店されるお客様)目線」です。クライアントが、「予算がないからBの素材でいい」と妥協しても、エンドユーザーの体験価値を下げると思えば、「少し費用をかけてもCの素材にすべきだ」と説得する事もあります。結果的にその判断が、店舗の繁盛という最大の利益に繋がると信じているからです。コストダウンを迫られた時も、印象を変えずにコストを下げる工法や素材の引き出しをどれだけ持っているか。それが、ディレクターの腕の見せ所です。

Q4. リアル顧客との辛い折衝

現場での泥臭いトラブル解決や、顧客との折衝エピソードを教えてください。

老舗飲食店A社のバンケットルーム改装での出来事です。天井が低い空間を高く見せるため、光を当てる円形アーチの天井を5つ均等に配置するデザインで契約し、工事がスタートしました。

しかし、いざ既存の天井を解体してみると、想定外の位置に巨大な「梁」が現れたのです。そのことにより、デザインの要である5つのアーチの均等配置が物理的に不可能になりました。引き渡し期限も迫る中、絶体絶命のピンチだった私は、小手先でごまかすことを一切やめ、すぐにお客様に事実を報告して謝罪しました。同時に、全体のバランスを崩さずに梁を回避する代替案を緻密に検証しました。

梁に干渉する1箇所だけアーチの深さを変えつつ、光の当て方を工夫して他の4つと違和感が出ないようにする案など、複数パターンを提示させていただいた結果、 「失敗はあったが、ここまで真摯に考えてくれるならWACTに任せる」と、逆に信頼を深めていただくことができました。ごまかさず、逃げず、真摯に解決策を出し尽くす。厳しい状況下でこそ、設計・施工者としての真価が問われるのだと痛感した案件でした。

Q5. WACTの未来と求める人物像

次代を背負うディレクター候補に向けて、どんなマインドセットが必要ですか?

デザイン力や設計スキルは後からでも身につきます。
最も重要なのは「正直で素直であること」、そして「変化を恐れず楽しむ柔軟性」です。

個人的に思う事ですが、自分の「小さな成功体験」にしがみつく人は、ディレクターとしては活躍し難いように思います。過去のプライドを守ろうと固執すれば、そこで成長は止まります。プロジェクトは生き物であり、前提条件は常に変わります。一度作ったものを壊してでも、別の視点を持ってより良いものへと再構築していく力が必要です。

「富田さんらしいデザインだね」と言われる事がありますが、実はデザインそのものへの強い執着を持たないよう注意をしています。空間づくりには3つの段階があると思っています。

1つ目は対話から生まれるバラバラの「素材」。

2つ目はそれを組み上げて作る「骨格」。

そして3つ目が、色を塗ったり照明を当てたりする最後の「演出・味付け」です。 私らしさが出ているのは最後の味付けの部分だけであり、2つ目の「骨格」は、前提条件が変われば何度でも柔軟に壊して作り直します。この変化の過程を楽しめる人と一緒に、WACTの次のステージを創っていきたいですね。

【求職者へのメッセージ】

WACTのディレクター職は、上流の企画から施工・引き渡しまで、プロジェクトの全責任を負うポジションです。プロとしての厳しいビジネス視点と、妥協なきクリエイション。その両立に挑む覚悟のある方をお待ちしています。

PJ推進マネージャー
富田 健太郎

1982年アメリカ生まれ。多摩美術大学卒業。PM・デザイン設計・施工監理を担当し、TOKYO DESIGNERS WEEKでデザインプレミオ賞を受賞。

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