“お家然”から“お店然”へ―話題の和食店「浜町えぐち」、商店建築に登場!

このたび当社が設計・施工を手がけた和食店「浜町えぐち」が、雑誌『商店建築 3月号』に掲載されました。「和」の意匠でもてなす飲食空間の特集において、浜町えぐちが紹介されています。
舞台は、日本橋浜町の住宅街に佇む築58年の木造戸建。私たちは、単なる店舗リノベーションではなく、「お家然」から「お店然」へと印象を一新する空間づくりに挑みました。是非ご覧ください。

浜町えぐち
工事種別:内外装 全面改装
床面積:68.04㎡
工期:2024年3月4日~8月30日(建築耐震補強工事含む)

浜町えぐちプロジェクトの詳細はこちら

【商店建築掲載文】

「お家然」から「お店然」へ
 東京・日本橋浜町の住宅街にある、築58年の木造戸建ての改修工事。建物のオーナーからの要望は、建物の適法化、構造の補強、既に入居が決定している出店者の要望に沿う計画にすることだった。出店者からは、いわゆる和食屋のデザインにしないことと、シンプルな空間に一本のカウンターが際立つデザインにすることが望まれた。打ち合わせは常に建物のオーナーと出店者、設計者の三者で進められた。
 既存建物には二つの課題があると考えた。一つ目は、戸建て住宅時代の雰囲気を色濃く残す「お家然」とした外観の風貌。大きな原因は既存の窓だった。しかし、排煙や採光、換気を十分に満たすには、この開口部は必須。機能を残しつつ印象を変えるため、1階から2階にかけて見付け17㎜の縦格子をダブルスキンのように配置し、「お店然」へと改修した。
 二つ目は、狭い建物の中で占める階段の存在感。これもまた「お家然」が故の課題だった。どこに配置しても上り途中の階段がカウンターの最も良い景色の中に現れてしまう。そこで、天井に巨大な板をカウンターの天板と斜めに配した軸に対して線対称な関係に見えるよう配置し、階段や設備類を客席から目立たせない計画とした。内外装共に細部に留意し、必要最低限の手数で簡潔に効果が表れるように努めている。
 建物オーナーと出店者、設計者が三人四脚で進めたこの店が、新しい景色として次の時代に長く残っていくことを強く望む。

※本記事は「商店建築」2025年3月号(発行:株式会社商店建築社)に掲載された内容を、株式会社商店建築社の許諾を得て転載しています。